「演劇」は、関係性の芸術とも言われます。生身の人間が舞台上で表現する感情、物語に、観るものはさまざまな心の動きを経験し、共感や疑似体験を覚えます。子どもたち一人ひとりに、その子だけの「心の時間」を提供できるのが、「演劇」なのです。
登場人物への感情移入は、子どもたちに自分自身のことを考え、他者を思うきっかけをつくってくれます。だからこそ、子どもたちが気軽に来られる場所で「演劇」という舞台芸術にふれてほしいと願い、いろえんぴつ劇場は始まりました。
地域の誰もが足を運べる「学校の体育館」という空間には、たくさんの可能性があります。赤ちゃんが泣いている、走り回る子どもがいる、壁に寄りかかる人、寝転がって観る人、車椅子の人、それぞれのペースで気ままなスタイルでありながら、どこにいても、そこにいる皆と物語を共有できる。それが、体育館という広い空間の包容力です。
この空間でしかできない創作現場をつくることは、とてもクリエイティブな作業であり、体育館公演にはさまざまな可能性と魅力が満ちています。